恋は盲目、愛は永遠
「すまない、唯子。そんな仕打ちをした私が憎いか?」
「憎いだなんて・・・。ただ他の選択肢がないことが、たぶん不満なんだと思います。かといって、他の選択肢は何かと聞かれても、正直分からなくて・・・」
「そうか。では時間をかけてこの生活に慣れていくというのはどうだ?」
「え」
「私は明日から5日間北欧へ出張だ。本当は唯子も連れて行きたいが、今の時期は寒い。それに5日で恐らく5カ国回ることになる。時差調整もあるから、唯子には少しタイトすぎるかと思うんだが、それでも行きたいか?」
「いいえっ!仮に私が一緒に行っても、鈴太郎さんのお仕事の邪魔になるだけですし」
「邪魔にはならないが、今回はあちこち行くし、唯子に構う時間があまり取れないとは思う。もちろん夜は一緒・・・」
「本当にいいんです。私はここで留守番してます。鈴太郎さんがお仕事をがんばっている間、私はここになじむ努力をします」
「唯子・・・今の言葉は私が言いたかったことだと分かって言ったのか?」と鈴太郎さんに聞かれた私は、ビックリして鈴太郎さんを見た。
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