恋は盲目、愛は永遠
「ま・・・じすか」
「これくらいで済むことをありがたく思ってほしい」

行き先は左近条博(さこんじょうひろし)邸。
坊ちゃんの叔父さんだ。

左近条家は、坊ちゃんの母方の実家で、旧公家アンド華族という、雅で華やかで高貴な家柄だ。
そして左近条家も伊集院家同様、多角的企業をいくつも経営している。
どっちかというと、ビミョーな差で伊集院家のほうが格上ってとこか。
経営面でも頭一つ分、伊集院家のほうが上。
奥様が伊集院家に嫁いでから、左近条家は盛り返したというのが実状だ。

だけど奥様と旦那様は、実は熱烈な恋愛結婚だったりする。
そりゃもう聞けばドン引きするくらいの・・・。
二人ともキャラ濃い・・・いや、奥様のほうがかなり濃いロマンチストで、旦那様はそれに感化されて目覚めてしまった、みたいな。
伊集院の家族4人が集うと、なぜか坊ちゃんが一番まともに見えてたんだが、唯子ちゃんを溺愛している坊ちゃんを見た俺は、「あ、目覚めちまったか」と思い直した。

奥様は3人きょうだいの真ん中で、兄と弟がいる。
その弟の博様へのご用を車中で聞いた俺は、先の「ま・・・じすか」というセリフを発したわけだ。

ま、唯子ちゃんに関わることだけに、坊ちゃんの怒りは納得だ。
俺は車中でやるべきことを聞いた後、密かにため息をついた。

左近条俊也さんに合掌・・・チーン。
< 238 / 298 >

この作品をシェア

pagetop