恋は盲目、愛は永遠
その日の夜、鈴太郎さんから電話がかかってきたとき、福島さんの彼女が明後日屋敷に来ることを伝えておいた。

ここは私の屋敷でもあるけど、鈴太郎さんの屋敷でもある。
だから来客があると事前にわかっていれば、鈴太郎さんにも言っておくべきだ。
それで鈴太郎さんが嫌だと言うなら、やめないといけないし。

でも福島さんの彼女ということと、私が奈穂さんに会うことをとても楽しみにしていると言ったら、鈴太郎さんはあっさり「そうか。よかった」と言ってくれた。

出張中は毎夜同じ時刻に、鈴太郎さんから電話がかかってくる。
スカイプだと私がよく見えない(鈴太郎さんは見えるけど)、そしてメールだと私がタイプするのが大変だ。
何よりスマホ越しでもいいから私の声が聞きたいと言う鈴太郎さんの意見は、いかにもと感心した。

そして鈴太郎さんがそう言ったことで、実は私も鈴太郎さんの声が聞きたいんだと気がついた。
あの心まで響く、鈴太郎さんの低い声を毎日聞きたい。
・・・これも愛情の一種なのかな。
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