恋は盲目、愛は永遠
鈴太郎さんはしっかりと私を受け止めてくれた。
それだけで、恐怖に支配されていた私の心に、少しずつ安堵感が広がっていった。

無意識に漏れた安堵のため息を聞いた鈴太郎さんは、私の髪や背中を優しく撫でてくれた。

「こんなに短期間で急激に視力が下がったのは初めてです。このままだと、40歳どころか23歳で全盲ですね」
「唯子」
「はい」
「おまえは私の姿が見たいか?ぼんやりとした姿ではなく、ハッキリとした私の姿が見たいと思っているか?」
「・・・・・・はい」と私は言うと、また泣き出した。

見たい。
めがねをかけてでもいい。
鈴太郎さんの姿を見たい。

私は顔を上げると、鈴太郎さんの頬にそっと手を置いた。
鈴太郎さんはその手の上に自分の手を重ねた。

温かい。大きい。
かすかに見えるけど、感じることはできる。
そして今は、見えなくなった分だけでも感じていたかった。
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