恋は盲目、愛は永遠
「鈴太郎さん、抱いて・・・」と私がつぶやくと、鈴太郎さんの頬の手に少し力がこもった。

「いいのか?唯子」
「なぜ聞くんですか?いつもなら私に聞かずに抱きたかったら抱くのに」
「私は学習中の身だ」と言った鈴太郎さんの顔が、さっきより見える。

息遣いも感じるし、自分の肘が曲がった。
ということは、鈴太郎さんは私に顔を近づけている。

そういう風に感じることで、今は視力が落ちたことを忘れていたい。
それに鈴太郎さんが私を抱くときは、いつもめがねをかけない。

感じることが全てになる。

「鈴太郎さん・・・」と私はつぶやくと、自分から顔を近づけて、鈴太郎さんの薄い唇に自分の唇をそっと押し当てた。
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