恋は盲目、愛は永遠

早くめがねが戻ってきてほしい。
そして私には、全盲になったときの心構えがまだできてないと改めて思い知らされた。

「怖いか」
「・・・少し」
「私は平らな道しか歩かない。店はすぐそこだ。もう少しガマンしてくれ」と鈴太郎さんは優しく私に言うと、私を自分のほうへもっと引き寄せた。

それはまるで、大人が子どもをあやすような言い方やそぶりだったけど、実際私たちはかなりの年の差があるはずだ。
公にされているデータが正しければ、鈴太郎さんは今年４３歳。
そして私は２３歳。

２０の年の差は、親子と言っても通用する。
と思ったとき、鈴太郎さんが「店に着いたぞ」と言った。

「自動ドアが開く」と鈴太郎さんが言ったのと同時に、ドアのが開く音が聞こえた。
「入ろう」という鈴太郎さんの誘導で、私はまた彼と一緒にゆっくり歩き始めた。