恋は盲目、愛は永遠
「ほう。ここにはハクジュ草があるのか」
「・・・あ」
「どうした、唯子」
「ハクジュ草って夢に出てきました。私がユージーンに説明して・・・彼は時折小屋を訪ねてきては、小屋の中を物珍しそうに見ていました。分からないものだらけだったのか、何でもこれは何だと私(ティア)に聞いてました」
「そうか。唯子にまだ言ってなかったことがあるな」
「私に、ですか?何でしょう、鈴太郎さん」
「私の人生について、と言うと大げさだが、私はいつも特別な誰かのために生きてきた気がするんだ。幼少の頃から薬草や薬学に興味があったのは、植物図鑑を見たとき、この知識はいつか役に立つ、いつかその人を救うことができる、そう強く思ったからだ。そのときはその人が誰なのかも分からなかった。だが今では分かる。唯子、おまえだ」と鈴太郎さんは言うと、私をそっと抱きしめた。
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