恋は盲目、愛は永遠
次に私は、その国の王子として生まれ変わった。
次期国王になるレオ王子の息子、テオとして。

テオは全盲だった。
それゆえテオは、最初から王位継承の対象外となっていた。

それでもテオには人の心を感知する、敏感な心が備わっていた。
テオはそれを誰にも言わなかった。

誰も信用できなかったから。

テオの両親であるレオ王(子)と王妃は、冷めた関係だった。
それでもテオが使い物にならない駒だと分かったため、王妃にはもうひとり、世継ぎを生む必要があった。
運良く次の子も男子。
でもその次男の王子は若くして戦争に巻き込まれ、家族の中で一番最初に亡くなってしまった。

その年では王妃はもう、世継ぎを産むこともできない上、次男の王子を亡くしたショックで病に倒れて数ヵ月後に亡くなってしまった。
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