恋は盲目、愛は永遠
レオ国王は、側室を取ることもしなかった。
病に冒されていたレオには、そうすることもできなかった。

結局テオが国王になるしか、残された道はなかった。

自分に残された時間は、もう少ないと思ったのか、亡くなる直前、レオ国王は強引にテオ王子を王位に継承させ、その数日後、病の床へ呼んだ。

「テオ、こちらへ」
「はい、父上」
「テオ。最後にこのような大役を押しつけてしまってすまない。だがおまえにはこの国の王として、民をまとめる力がある。自信を持て。おまえは目は見えないが、心の目は十分すぎるほど視えているはず。その目を信じろ。おまえの・・・勇姿を見届けることができなくてすまない。私を許せ・・・私はおまえを愛して・・・いる。わが息子よ・・・」と言いながら手を伸ばしたレオの手をテオが取ったとき、レオはその生涯を閉じた。

息子のテオは、涙に濡れた父・レオの頬を指でぬぐうと、握られた手を静かに戻した。
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