恋は盲目、愛は永遠
鈴太郎さんと私は、生まれ変わるたびに、何度も関わりを持っていた。

たとえば、母親であった私と、胎内にいた子。
落石事故で全盲となった私は、そのときおなかにいた子・・・鈴太郎さんも失った。
それを知った私は心臓が急停止・・・ショック死した。

重い心臓病患者だった私を、医者である鈴太郎さんが救えなかったこともあった。
朦朧とした意識の中、すでに視力も衰えていた私の手を握りながら、医者の鈴太郎さんは、「あなたを救えなくてすまない」と言って泣いていた。

このときの私は男性で、鈴太郎さんも男性だった。
単に、医者として患者を救えなかったという悲しみで泣いているように私には見えた。

他にも父(私)と娘(鈴太郎さん)、兄(鈴太郎さん)弟(私)・・・。
生まれ変わるたびに、私たちは関わり合っていた。
そして毎世、鈴太郎さんは、私を助けよう、救おうと手を尽くしてくれたけど、どうしてもそれは叶わなかった。

鈴太郎さんは、あれからずっと、私のために生きてくれていた。
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