恋は盲目、愛は永遠
「ちなみに、家の設計や建築費用はすべて私が出した。それらは私自身から成人した私へのプレゼントにした」
「そうですか・・・。じゃあ鈴太郎さんは、20歳のときからずっとここに住んでいらっしゃるんですか?」
「いや。イギリスとアメリカにいた間は、時々帰ってくる拠点にしてにしていた。だから大学院を卒業後帰国した25のときからここで暮らしている。これからはここが唯子の屋敷だ」と鈴太郎さんは言うと、私をヒョイと抱き上げた。

「え?わ、きゃあっ!!」
「私と唯子の屋敷にようこそ」
「あ・・・はい」

鈴太郎さんの微笑みと、思いがけない言葉をかけられて、戸惑っていた私は、そんな言葉しか返せなかった。

「唯子、歩くぞ。私の首に手を回せ」
「はい、わっ!」

すぐ歩きだした鈴太郎さんの首に、私は慌てて手を回した。
< 56 / 298 >

この作品をシェア

pagetop