恋は盲目、愛は永遠
「やはり唯子は私の姫だな。ただいま」とにこやかに鈴太郎さんは言うと、メイドさんがいる前に、私の足を持っていった。
「え?あ、やっ!」と私が言ってる間に、メイドさんがササッと私の靴を脱がせてくれた。

「やぁだ坊ちゃま。すっかり新婚さんが板についちゃってー」と軽く鈴太郎さんに言ってるメイドさんは、見た目50代くらい?
とにかく私の母とそう年は変わらないようだ。
私を下ろしてくれた鈴太郎さんは、座って靴を脱ぎながら、「唯子。メイドのサキさんだ」と紹介してくれた。

「初めまして。今日からお世話になります」と私は言って、ペコリと頭を下げた。

「こちらこそ今日からよろしくお願いしますね、奥様」
「おっ、おくさま・・・それ、は、ちょっと・・・」と私は言うと、困った顔で鈴太郎さんを見た。

「唯子ちゃんと呼んでいい」と鈴太郎さんが言ってくれて、私は心底ホッとした。

「ありがとうございますっ鈴太郎さんっ!」と弾んだ声でお礼を言った私に、「それくらいのことで礼を言わなくてもいいぞ」と鈴太郎さんが言った。
その様子を見ていたメイドさんたちが、「あらあら。とても仲がよろしいですねぇ」「これなら大丈夫そうね」とあけすけに話していた。
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