恋は盲目、愛は永遠
急に決まった結婚話なのに、もうみんな知ってるんだ。
って住み込みで働いていらっしゃるなら、知ってて当たり前だよね。
・・・ってことは、ちょっと待って！
お父様の秘書をされている秀則さんも知ってるということは、伊集院家の方々にも知れ渡っているはずで・・・。
今更それに思い至った私は、また冷や汗をかいた気がした。

「どうした？唯子」
「えぇっと・・・伊集院家のみなさまは、私のことを知ってるのでしょうか」
「当然だ。唯子は私の妻だぞ」
「えぇぇっと、それはまだ・・・」と私が言いよどんでいるとき、鈴太郎さんのスマホが鳴った。

鈴太郎さんは、私を見ながら「私だ・・・分かった・・・おやすみ」と言葉少なく対応すると、スマホを切って「婚姻届が無事受領された」と言ってニッコリ笑った。
そして私を見たまま数歩で私との距離を縮めると、「これで唯子は私の妻になった」と満足気な声で言った。
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