恋は盲目、愛は永遠
どのみち私には、鈴太郎さんの顔はあまり見えない。
でもなるべく目をつぶっていよう。
そして早く終わることを祈っていよう。

大丈夫。鈴太郎さんは優しい人だ。
それに私は鈴太郎さんのことが嫌いじゃない。
実際惹かれているかもしれない。
でもそれだからと言って、結婚したいと思うほどの感情を持っているのかと聞かれると、正直分からなかった。

ただ、自分が身分違いの人と結婚してしまったとは思う。
一生かかわることはないと思っていた人と。
住む世界が違うと思っていた人と。

「唯子、目を開けろ。そして私を見ろ」

場違いな世界へ来てしまった。
なぜ鈴太郎さんは、私を選んだのだろう・・・。
私の目から出てくる涙を、鈴太郎さんは舌で舐め取る。
そのまま私の唇へ、唇を重ねてきた。
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