恋は盲目、愛は永遠
「唯子、手を」と鈴太郎さんに言われた私は、怪訝な顔をしながら、膝の上に乗せていた両手をテーブルの上に置いた。
すると向かいに座っている鈴太郎さんは、手を伸ばして私の左手を引っつかんだ。

「えっあの、鈴太郎さん?」
「なんだ唯子」
「手を・・・」
「手を、なんだ」
「離してもらえないかと・・・」

大体こういうことをするから、余計注目を浴びるんだろうし!
とは言っても、このレストランにお客は私たちの他まばらにいる程度で、しかも私たちのテーブルの周りは誰もいない。

「この私が唯子の手を握っていたいんだ。唯子は不服でもあるのか」

き、きたっ!「この私が」が!!

「それとも唯子はこの私に手を握られたくないとでもいう・・・」
「いえっ!そんな滅相もない!!」
「そうか。ではもう少しこのままでいよう」
「・・・はぃ」

悲しそうな顔から一変、今は満面笑顔で私を見ている鈴太郎さんに、私はいいようにふり回されているなと思った。
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