恋は盲目、愛は永遠
そこに映っている私は、やっぱり私で・・・。
どう見ても、どうあがいても、あの伊集院鈴太郎さんの妻には見えないわけで。
でも、この指輪をはめてるということは、やっぱり私が妻なんだよね。

とそのとき、ヒソヒソ声が聞こえてきたので何気なくそっちを見ると、「ほら、やっぱりそうじゃない?」「マジ?」とその人たちは言っていた。

まさかばれたのかな。
恥ずかしいのと嫌な気持ちしかなかった私は、慌ててトイレから出た。
鈴太郎さんを見つけた私は、そっちへ行こうとした。

これが最初で最後のチャンスかも。
人ごみに紛れて、鈴太郎さんから逃げ出せる・・・。

気づけば私は、鈴太郎さんがいるところから真逆の方向へ走っていた。

逃げて。逃げて逃げて走って逃げて・・・!
と自分に言い聞かせながら、私はショッピングモールを出た。
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