恋は盲目、愛は永遠
「少し早い気がします」
「そうか・・・」と鈴太郎さんはつぶやくと、私を抱き上げた。

「え?ちょ・・・鈴太郎さんっ!!!!」
「少し歩くぞ。唯子、私の首に手を回せ」
「あ、わぁ!」
「そうだ。私にしがみつけ」と鈴太郎さんはつぶやきながら、どんどん歩いていく。

あの・・・人ごみは・・・たくさんいた人は?
と思うくらい、鈴太郎さんはスムーズなリズムで歩いていた。

きっと私が病人だと勘違いして、道を作ってくれているのか。
はたまたこの人が伊集院鈴太郎だと気づいて、道を開けてくれているのか。

たぶん後者な気がする・・・うん。絶対。

鈴太郎さんは、私をそっと助手席に乗せた。
あの距離まで私を姫抱っこしておきながら、鈴太郎さんは息切れひとつしていない。

鈴太郎さんは運転席に座ると、隣にいる私に覆いかぶさるように近づいた。
そして大きな両手で私の頬をはさみ持ち、私の顔を動かせないようにすると、あと1センチくらいで唇同士が触れ合うくらいまで顔を寄せてきた。

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