一途な社長の溺愛シンデレラ

 呆気にとられたように立ち尽くしていた女が、「ふ、ふふ」と息継ぎをするように笑った。

 目を細め、卑しむような笑みを浮かべながら、私の胸ぐらを掴んで顔を寄せる。

「遼介を追い込んでいるのは、あんたの方でしょ」

 思いもよらない言葉だった。

 私を押しつぶそうとでもするように、彼女はさらに身を乗り出す。

「あんたを食べさせるためだけに、遼介はあんな小さな会社をやっているのよ。どうせお遊びの会社経営なんだからとっととやめて、駿祐やお父様の仕事を手伝えばいいのに」

 言われた意味が、よくわからなかった。

 社長が、私のためにデザート・ローズを経営している――?

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