一途な社長の溺愛シンデレラ



 社長に連れられてドアをくぐり大理石のエントランスを抜けてエレベーターの前まで来ると、壁に設置された防犯用のモニターが目に入った。

 さっきまで自分が立っていた玄関前の様子がしっかり映し出されていて、思わず見入る。

「様子を見に戻ってきたら、これにお前の姿が映ってて、目を疑ったよ」

 音もなく到着したエレベーターに乗り込みながら、社長は私を見下ろす。

「そもそも、なんでここにいるんだ」

「心配だったからつけてきた」

「は?」

「あの人、社長のお兄さんのフィアンセだったの?」

 話題を逸らすように尋ねると、彼は難しそうな顔をしながら壁にもたれた。

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