一途な社長の溺愛シンデレラ
まるで私のほうが別の世界に紛れ込んでしまったみたい。
贅沢な空間で革張りの二人がけラウンドソファに座って窓の外をぼんやり眺めていると、社長が両手にマグカップをもってやってきた。
「お前って、結構夜景が好きだよな」
「……そうかもしれない」
深い青に沈んだ空と、人々の営みであるオレンジ色の灯。美しい対比が顕著に見て取れる夜の景色は、どれだけ眺めていても飽きない。
「ほれ」と手渡されたマグカップに口をつける。
甘くないココアだった。カカオの香りにほんの少し別の匂いが混じっている。
私の表情を見て、社長が小さく笑った。