一途な社長の溺愛シンデレラ

 長い髪に軽く唇をつけて、社長はまっすぐに私を見た。至近距離で目が合って、どきりとする。

「ありがとうな、沙良」

「……なにが?」

「俺のために、怒ってくれただろ?」

 麗子さんに向かって啖呵を切った自分を思い出していると、彼は愛おしそうに私の頭をなでた。

「お前が感情をあらわにしてるところなんて、はじめて見たよ」

「……私も」

「なんだよそれ。お前もかよ」

 彫りの深い顔に苦笑が浮かび、やがて優しい笑みが広がる。

 さっきから社長の身体が少しずつこちらに寄ってきていて、いつのまにか、私はソファの端まで追いやられていた。

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