一途な社長の溺愛シンデレラ

 なおも顔を近づけてくる彼を、押しのけるように手を伸ばす。

「ていうか、近い」

 突っ張るように伸ばした両方の手は、いとも簡単に捕らえられてしまった。

 まっすぐ見つめられて、つい顔を逸らす。

 心臓がうるさいほど鳴っていて、自分でもどうすればいいのかわからなかった。

「沙良、キスしていいか?」

 胸の高鳴りが、いっそう激しくなる。

 ソファの上に三角座りをした状態で、両手を掴まれたまま、動けなかった。

 何も答えられずにいると、彼はゆっくり顔を寄せてきた。

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