一途な社長の溺愛シンデレラ

 心臓が騒ぎ過ぎて、私は顔を伏せる。すると長い指に顎を持ち上げられ、強引に振り向かされた。

 そのまま、唇が重なる。

 それは、以前頬にされた感触とはまったく異なっていた。

 自分の唇で、社長の厚みのある唇のやわらかさを感じる。

 軽く触れただけで、社長は顔を離した。と思ったら、目が合った途端、もう一度唇を合わせてくる。

 逃げ場を奪われ、大きな左手に頭を抱えられるようにして、長いキスを受けた。

 ついばむような、なぞるような動きに頭が真っ白になって、イメージが吹き飛ぶ。

 お酒を飲んだときもイメージは溶けてなくなるけれど、社長のキスは、それとは比べ物にならないくらい私の脳に作用した。

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