一途な社長の溺愛シンデレラ

「沙良の気持ちはちゃんと外に表れているし、ちゃんと伝わってる」

「え……でも」

「わかるんだ。作品に全部出てるから。沙良の喜びも悲しみも戸惑いも。悔しさや怒りだって。正も負も、お前の感情は全部、お前が作り出すものに表れてる」

 まっすぐ注がれる黒い瞳に、火が灯っているように見えた。青く揺れる優しい灯が私を静かに照らし出す。

「俺は知ってる。お前が誰よりも情感豊かで、誰よりも人とのつながりを欲してることを」

 わずかに声を落として、社長は言った。

「十年前から、見てたから」

「え……?」

 ふうと震える息を吐いて、社長はテーブルに置かれていたタブレットを取り上げた。

 インターネットブラウザにリンクトの画面を表示させ、私の目の前で、ログインして見せる。

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