一途な社長の溺愛シンデレラ

 SNSを使うのがはじめてなのか、少女は一つひとつの質問に律儀に答えていた。

《十二才》
《織部沙良》
《ほかにもある。アップする》

 心臓が縮む思いがした。

 まるで猛獣の檻に放り込まれたうさぎだ。

 素直に受け答えをする彼女は、その容姿も相まって、よからぬ思想を抱くネット住民たちの格好の獲物になっていた。

 悪意が見え隠れする投稿が、次々に彼女に投げつけられる。


《キミが本当に描いたのかどうか確かめたいから、住んでる場所を教えて?――from@***》


 ああ、まずい!

 遼介の指は、とっさに動いていた。

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