一途な社長の溺愛シンデレラ
「俺が制作会社を起こそうと決めたのは、お前が高校生になって進路について悩み始めてたからっていうのもあるけど、結局は、俺がずっとお前の作品をそばで見ていたかったからだ」
言葉にならなかった。
自分ひとりで歩んできたと思っていたこれまでの道のりに、寄り添う影が見えてくる。
「どうやってお前を俺の会社に引き込もうか考えていたら、ちょうど面接に落ちまくって凹んでたから、ハルカを使って個展を提案した」
そうして結城遼介は、偶然訪れたふりをして、あの場所で私と出会った。
伸びていく。
四年半前、カフェSlo-Moでの出会いまでで途切れていた社長とのつながりが、過去に遡って、どんどん枝を伸ばしてく。