一途な社長の溺愛シンデレラ
「悪い。よくよく考えたら、ものすごい執着心で、気持ち悪いな、俺」
社長は両手で顔を覆うようにしてうなだれた。
自分の行いを客観的になぞる行為をして、あらためて恥ずかしくなったらしい。
耳まで赤くなっている姿をじっと見ていると、彼はふいに顔を上げた。
頬を赤らめたまま、ぶれることのない目で私を見る。
「でも、最初にお前の作品を見つけたときから、俺はお前の虜だった」
雨だ。
ぽつりぽつりと雨が降っていく。砂漠に降る、突然の雨。
よく見ると、それは潮だった。
上空に浮かぶクジラがもたらす、慈愛の雨。
「沙良……?」