一途な社長の溺愛シンデレラ
気がつくと、私の頬を涙がつたっていた。
玉ねぎを切ったことで出た涙とはまるでちがう、心の芯が震えて溢れ出た涙だった。
戸惑っている社長の首に、そっと抱きつく。
「どうした……?」
ためらうように私の背中に触れる手はとても大きくて、私は目を閉じる。
優しくてあたたかい手のひらの感触に、私のすべては満たされる。
最初は、十二歳のときだった。
その次は、十八歳のとき。
孤独や不安に押しつぶされそうで、私は心の中でずっと叫んでいた。
誰か、私を見て。
私を、見つけて。