一途な社長の溺愛シンデレラ

 私の背後に立っていた社長が慌てて叫ぶと、絵里奈は「ええ?」と疑わしそうな視線をよこす。

「だってそんなにべったりくっついて。必要以上のスキンシップは控えてください。独り身には目の毒だわ~」

「おい眞木、お前、昼休憩のときに酒でも飲んだんじゃないだろうな……?」

 とりあえず社長の名誉のために説明しておくと、彼は私が制作するウェブサイトのレイアウトをチェックしているだけであって、必要以上のスキンシップをしているわけではない。

 オフィスにはジャズの爽やかなリズムが溢れているのに、真ん中に鎮座した共有テーブルは絵里奈のおかげですっかり居酒屋の様相だ。

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