一途な社長の溺愛シンデレラ

「まあまあ眞木、祝福してやろうじゃねえか。遼介もようやく想いが叶ったんだから」

「ていうか、例のミューズって、結局沙良ちゃんのことだったんですよね!? 十年前からって、社長ってばどんだけ一途なんですか!」

 自席でパソコンに向かっている西村さんも「そうだそうだ」とさりげなく会話に参加している。

「って、眞木! なんでお前がそのことを知ってるんだよ!?」

 焦る社長に絵里奈はじとりとした視線を送る。

「だって竜崎さんが触れ回ってますもん。結城社長の光源氏計画だって」

「あいつ……」

 頭を抱えるようにしてうなだれながら、彼は自分の机に戻っていく。

「だから嫌だったんだよ、昔の話をするのは……。俺は別に沙良を自分好みに育てようとしたわけじゃなくて、ただその作品をだな」

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