一途な社長の溺愛シンデレラ

 いったい私を何歳だと思っているのだろう。

「……いいだろ。これまでずっと我慢してきたんだから」

 少し怒ったように言うと、今度は私の腰を引き寄せますます密着する。

「歩きづらい」

 押しのけようにも、大きな体は私の非力な腕ではびくともしない。

「いっそお姫様抱っこしてやろうか?」

 冗談ぽく笑いながら、彼は私の歩幅に合わせるようにゆっくりと歩を進めていく。

「社長もお花畑だね」

「は?」

「……なんでもない」

 空飛ぶクジラの背中は、トカゲの目から見ると陸地のように広大だ。そこには、色鮮やかな花々が一面に咲き乱れている。

 そんなイメージが思い浮かんで、自然と頬が緩んだ。


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