一途な社長の溺愛シンデレラ
「まあ、周りから資産家令嬢って思われてるな。けど、あの人は呑気なお嬢さんタイプだから、心配しなくていい」
令嬢という言葉に頬がひくりと震えた。
私とは、あまりにも住む世界がちがうのでは……。
こみ上げてくる様々な不安を押し殺しながらスケッチブックに目を戻すと、背中に流れる髪をつままれた。
「忙しくなるな。一年なんて、あっというまだぞ」
私の気持ちも知らずに、社長はどこかうれしそうだ。
一年後に結婚式を挙げることを目標に、私たちは少しずつ準備を進めることになっていた。
手始めに私の部屋を引き払い、このマンションで社長と一緒に暮らすことになっている。