一途な社長の溺愛シンデレラ

「まずは沙良のお母さんに挨拶しに行って、それからうちの実家だな」

「うちはともかく、私は社長の両親に会って大丈夫なの?」

 令嬢などと呼ばれる人にきちんと挨拶できる自信はない。

 私の不安をようやく理解したのか、社長はきょとんとまばたきをしてから、くしゃりと破顔した。

「平気だよ。うちはもともと変人家系だから」

「変人……」

 なんとなく引っかかる物言いをした彼は、私の心には気付かずにうれしそうに笑っている。

「式の日取りと式場の予約、引っ越しに……そうだ、新婚旅行の計画も立てないとな」

「しんこんりょこう……」

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