一途な社長の溺愛シンデレラ
「飲もうぜ!今日はとことん飲んじゃおうぜ!」
「はい!ばっちり付き合いますから西村さん!」
グラスを打ち合わせる西村さんと絵里奈をぼんやり眺めながら、私はレモンサワーに口をつける。
結局黎明堂のことを定時まで引きずった西村さんに連れてこられる形で、私と絵里奈は居酒屋の席についていた。
レインボータワーに勤める人たちが選ぶような洒落たバーではなく、疲れたおじさんサラリーマンがあふれているような、ごちゃりとした大衆居酒屋が、私たちの行きつけだ。
「ねえねえ西村さん、うちの会社って危ないんですか」
ひとしきり西村ディレクターの愚痴を聞いてから、絵里奈が口を開いた。
「今日竜崎さんが言ってたじゃないですか。うちの会社は三好エージェンシーとの仕事でもってるようなものって。ていうか、竜崎さんと結城社長って、そもそもどういう関係なんですか。ただの取引相手にしては馴れ馴れしいというか……」
鶏モモ串にかぶりつく彼女の言葉に、私は台風男のことを思い出す。