一途な社長の溺愛シンデレラ
「あ~なるほど、それが社長のツテってことなんですね。それじゃあ、確かに三好頼みって感じなのかなうちの会社。御池さんが頑張って仕事取ってきてくれてるけど、三好との関係が切れたら正直危ないですね」
絵里奈のつぶやきに、西村さんはメガネの奥の目をにやりと細めた。
「いや、大丈夫だと思うよ。社長はイヤだろうけど、あの人には奥の手もあるし」
「奥の手?」
絵里奈が不思議そうに眼をまたたくと、西村さんは周囲を気にするようにあたりを見回し、私と絵里奈を交互に見て声をひそめた。
「ここだけの話だけど、社長の実家って横浜の大豪邸らしいよ」
「へえ、社長ってお金持ちだったんですか」
「母親が資産家令嬢で、父親はなんと、作曲家の結城龍之介(ゆうきりゅうのすけ)だってさ。ちなみに社長の兄貴は、あの音楽プロデューサー、結城駿佑(ゆうきしゅんすけ)なんだよ」
ますます声をひそめた西村さんの意向を無視するように、絵里奈は声を張り上げた。
「ええっ!ほんとですか!?私、結城駿佑がプロデュースした映画のサントラ持ってますよ!」