一途な社長の溺愛シンデレラ
絵里奈の言葉に反応するように、記憶の底から映像がよみがえってくる。
まだ高校生だった私と、道を示してくれた@haruka(ハルカ)と、行くあてのない私に手を差し伸べてくれた彼。
「私は……社長に、ひろってもらった」
高校を卒業する歳になっても社会に馴染めずただ作品を作ることしかできなかった弱い人間と、それに生きる術を与えてくれた恩人。
私と社長の関係を言い表すのに適切な言葉は、それ以外に知らない。
重くなった胸に小さな痛みが走って、私は顔を歪めてしまった。
「どうかしたの、沙良ちゃん?」
私の顔を覗きこんで、絵里奈が心配そうに言う。
「なんでもない」
自分の胸をさすりながら、こみ上げてきそうな何かを押し戻すために、私はレモンサワーを一気に喉に流し込んだ。