一途な社長の溺愛シンデレラ
作品を撮影し、ネットの世界に向かって公開した。
絵をかいて、立体物を作って、とめどなくあふれる自我を、全世界に放出した。
ネットのルールを知らず自己防衛の概念すらなかった私に、最初に警告をくれたのが@haruka(ハルカ)だ。
そのとき私は、画面の向こうの不特定多数の人間に要望されるまま、作品とともに自分の姿を写してアップしていた。
《ネットの人間を、簡単に信用してはいけない――from@haruka》
ハルカは何も知らない私に、世界がいかに危険であるかを説き、インターネットの基本的な注意点と、作品に対する感想をくれた。
ハルカとはネットを介してのやりとりしかしていないけれど、十年前のあの日から、彼女は私の師匠であり、私が心を開ける数少ない人間のひとりだ。
『リンクト』にログインして、私はタイムラインを眺める。
十年前から始めて、少しずつ増えていったフォロワーの数は約5万人。