一途な社長の溺愛シンデレラ
「どうして社長の知り合いが、うちに来るの」
「ああ、前原さんね」と答えながら、彼は紙袋を部屋に運び入れる。
「新井さんていう学生時代の先輩が、アパレル系のオンラインショールームを運営してて。彼女はそこのアシスタント」
大学時代を思い出したのかひとりで笑いながら、社長は私を振り返る。
「新井さん、最近面白い試みをしててさ。その一環で俺が前々から目星をつけてた服をまとめて持ってきてもらったわけ」
「……言ってる意味がさっぱりわからないんだけど」
自分の理解力がないせいだろうかと思っていると、社長は紙袋から中身を取り出して、一着ずつ包装された衣類をベッドの上に並べはじめた。
「だから、服を持ってきてもらったんだって。ざっくり言えば、新井さんはスタイリストがファッション誌用にコーディネートした服を丸ごとセットで買えるシステムを考えた人で、俺はそのシステムを使って、常日頃おまえに似合う服をチェックして――」
そこまで言ってから、急に黙り込んだ。
「とにかく、ここにある服、全部着てみろ」