一途な社長の溺愛シンデレラ

 表情を変えないまま言う社長を見て、私は首を傾げる。

 もしかして、紙袋にどんな服が入っていたのか、自分で把握していないのかな。

 洗面所に戻ってワンピースを脱ぎ、銀色の糸で細かく刺繍が施されたダークブルーのドレスに脚を差し込みながら、ふと思う。

 全部サイズがぴったりだった。どれもこれも、まるで私にあつらえたみたいに。

「社長、背中のファスナーが上げられない」

 洗面所から出た私を見て、社長は「はっ?」と声にならない声を上げた。

 満月みたいに丸まった目を見つめながら、やっぱり知らなかったのかと納得する。

「なんだおまえ、その格好……」

「なにって、ほかの服と一緒に渡されたから」

 ノースリーブ型のチャイナドレスはロング丈で露出は少ないけれど、太ももから大胆にスリットが入っている。

 背中に垂れていた髪を両手で掻き上げながら、私は社長に背中を向けた。

「ファスナー、上げて」

「あ……ああ」

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