一途な社長の溺愛シンデレラ

「わかった。ありがとう社長」

「ん」

　短く答えながら、社長はまた不機嫌そうにそっぽを向いてしまった。

　樹を彫り込んだように深い陰影をのせる横顔を見つめながら、私は不思議に思う。

　チャイナドレスを着たあたりから、社長は口数が減り、目もほとんど合わなくなった。

　自分で着ろと言ったくせに、どうしてそんなに怒っているのだろう。

「ねえ、なんでこっち見ないの」

「……いや、べつに」

　私は横を向いて姿見に映った自分を確認する。

　チャイナドレスは、ほかの服とは比較にならないくらい体のラインが出てしまう。

　やっぱり、貧相な私の体には似合わなかったのかもしれない。

「社長、この服脱ぐからファスナー下ろして」

　背中を向けようとすると、整った顔がぱっと振り返った。

「なんでだよ」

「なんでって……」