一途な社長の溺愛シンデレラ

 突然必死そうな声で言われて戸惑っていると、社長はどことなく拗ねた顔になって、また目を逸らした。

「せっかく着たんだから、しばらく着てろ」

「でも」

「いいから」

「だけど、似合ってないでしょ」

「……そんなことはない」

「じゃあ、なんでずっとこっちを見ないの。見るに堪えないからじゃないの」

 私が静かに指摘すると、社長はしばらく黙りこんでから、観念したように息をついた。

「逆だよ」

 ベッドに座ったまま、廊下に立っている私に目を向ける。

 何かをこらえるようにしかめた顔は、やっぱり怒ってるみたいだ。

 だけど、瞳だけは不思議と熱っぽい。

「似合いすぎて、やばいんだよ」

「……やばい?」

「だからつまり、いろいろなものが限界っていうか」

 はっきした顔立ちの印象そのままに、普段からはっきりと物事を言う社長が、語尾を濁した。

 めずらしく思いながら足を踏み出した瞬間、社長はストップというように手を突き出す。


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