今宵、エリート将校とかりそめの契りを
「偵察に出た際……部隊は二人一組で、散り散りになって調べたそうだ。志願兵が向かったのは、まさに先陣の進行予定経路だった。そして……彼と行動を共にしたのが、上木正一だった」
「っ……総士様、それは」
「ここからは曹長の憶測だ。彼は言ったよ。上木とその志願兵は、地雷原の存在を突き止めた。しかし、なんらかの問題が起こり、軍営に報告できなかったのではないか、と」
淡々と告げる総士の横顔を見つめたまま、忠臣はきゅっと唇を噛んだ。
彼がその先を促しているのを感じて、総士も再び口を開く。
「結果として、地雷原の報告は届かぬまま、先陣隊は壊滅の憂き目に遭った。志願兵は、武勲を挙げるどころか……言い方は悪いが、仲間部隊を『見殺し』にすることになり、それを苦にして、出奔した」
「今となっては、報告に関する事情を知るのは、上木正一ただ一人」
忠臣が掠れた声で言うのを聞いて、総士は何度か小さく頷いた。
「先陣部隊の壊滅を受け、偵察隊の他の兵士も、咎めを恐れて保身に走った。誰一人として、上木に真相を問い詰めた者はいなかった。彼らからすれば、『知らなかった』で済むことだ。一言でも上木から『地雷原があった』と耳にしてしまえば……連帯責任を問われる」
総士はまるで物語でも読むような感情を殺した口調で言い切り、はあっと声に出して溜め息をついた。
「っ……総士様、それは」
「ここからは曹長の憶測だ。彼は言ったよ。上木とその志願兵は、地雷原の存在を突き止めた。しかし、なんらかの問題が起こり、軍営に報告できなかったのではないか、と」
淡々と告げる総士の横顔を見つめたまま、忠臣はきゅっと唇を噛んだ。
彼がその先を促しているのを感じて、総士も再び口を開く。
「結果として、地雷原の報告は届かぬまま、先陣隊は壊滅の憂き目に遭った。志願兵は、武勲を挙げるどころか……言い方は悪いが、仲間部隊を『見殺し』にすることになり、それを苦にして、出奔した」
「今となっては、報告に関する事情を知るのは、上木正一ただ一人」
忠臣が掠れた声で言うのを聞いて、総士は何度か小さく頷いた。
「先陣部隊の壊滅を受け、偵察隊の他の兵士も、咎めを恐れて保身に走った。誰一人として、上木に真相を問い詰めた者はいなかった。彼らからすれば、『知らなかった』で済むことだ。一言でも上木から『地雷原があった』と耳にしてしまえば……連帯責任を問われる」
総士はまるで物語でも読むような感情を殺した口調で言い切り、はあっと声に出して溜め息をついた。