今宵、エリート将校とかりそめの契りを
(滞りないというのか。あれは。さらに面倒な恨みを買った気分だが……)
総士は口元に手を当て、昨夜の琴の目を思い出す。
自分を『信用できない』と言い放った琴から抵抗の芽を削ぎ、彼女の純潔を奪った。
それは形だけなら初夜として成功で間違いないが、琴が抵抗をやめたのは、総士が『協力してやる』と言ったせい。
その後抵抗を見せず大人しくなり、総士に身を委ねる琴を乱していきながら、彼女の『本気』を思い知らされた、そんな気分でいた。
(俺は身体に踏み入っただけだ。心の鍵は一層固くなった)
思い悩む総士を窺うように見ていた忠臣が、クッと肩を動かして含み笑いを漏らした。
その声を耳にして、総士が目力を込めてギロッと睨みつける。
「まあまあ。それはさておき。まず私から先にご報告を。大旦那様には、総士様のご結婚の件、申し伝えました。出張から戻り次第祝言を執り行うから、準備しておくようにと指示が出ました」
そう言って忠臣が話題を引き取ると、総士も椅子を回転させて真っすぐ机に向き直った。
「呆れていただろう」
「そりゃあもう。『あのバカ息子は、取り出せずに残ってる銃弾が、頭にでもあるんじゃないか?』と」
「あいにく正気だと伝えてくれ。……で?」
今度は総士が忠臣の報告に短く言い捨て、目線を流しながら促した。
総士は口元に手を当て、昨夜の琴の目を思い出す。
自分を『信用できない』と言い放った琴から抵抗の芽を削ぎ、彼女の純潔を奪った。
それは形だけなら初夜として成功で間違いないが、琴が抵抗をやめたのは、総士が『協力してやる』と言ったせい。
その後抵抗を見せず大人しくなり、総士に身を委ねる琴を乱していきながら、彼女の『本気』を思い知らされた、そんな気分でいた。
(俺は身体に踏み入っただけだ。心の鍵は一層固くなった)
思い悩む総士を窺うように見ていた忠臣が、クッと肩を動かして含み笑いを漏らした。
その声を耳にして、総士が目力を込めてギロッと睨みつける。
「まあまあ。それはさておき。まず私から先にご報告を。大旦那様には、総士様のご結婚の件、申し伝えました。出張から戻り次第祝言を執り行うから、準備しておくようにと指示が出ました」
そう言って忠臣が話題を引き取ると、総士も椅子を回転させて真っすぐ机に向き直った。
「呆れていただろう」
「そりゃあもう。『あのバカ息子は、取り出せずに残ってる銃弾が、頭にでもあるんじゃないか?』と」
「あいにく正気だと伝えてくれ。……で?」
今度は総士が忠臣の報告に短く言い捨て、目線を流しながら促した。