きみに初恋メランコリー
♩︎*゚Track:1
「……それでも、いいの?」
本当は、いいわけなんてなかった。
すきな人の、1番になりたい。その心の、1番近くに置いて欲しい。
──だけどそれは、叶わないから。
「それでも、いいです……っそばに、いられるなら」
ただ、そばにいたい。傷ついても、報われなくても、いいから。
わたしにとって堪えられないのは、あなたの笑顔が見られなくなること。
「……馬鹿だね、花音ちゃん」
切なげな顔でつぶやいた先輩は、それでも、わたしを拒絶しなかった。
伸ばされた手が、横髪を耳にかける。そっとまぶたを下ろせば、静かに気配が近づく。
さっきわたしが強引にした、下手くそなキスを上書きするように。
今度は先輩から、くちびるを塞いだ。
きみに初恋メランコリー *゚
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