きみに初恋メランコリー
♩︎*゚Track:5
・あの声が離れない
……ああ、最低だ。
退屈な英語の授業を受けながら、俺は今日何度目になるかわからない、深いため息をつく。
『あの、先輩。気にしないで、くださいね』
昨日から、ずっと。
電話口での悲しげな花音ちゃんの声が……頭から、離れないのだ。
「(……傷つけたよなぁ)」
テキストにあるジョージだかジェームスだかのイラストの髪を、意味もなくシャーペンで塗りつぶす。
あんなに、楽しみにしていた海だ。突然キャンセルになって、かなり落ち込んだに違いない。
……それも俺の、身勝手な理由のせいで。