きみに初恋メランコリー
その、言葉を聞いた瞬間。

ドクンと、心臓が嫌な音をたてた。



「ずっと、すきだった。それこそクラスが一緒だった、あの頃から。転校して、他の女と付き合ったりもしたけど、やっぱり花音のことが、忘れられなかった」

「え……あ……」

「……すきなんだよ、花音」



切ないほどにまっすぐ、刹くんはわたしのことを見つめてくる。

突然のことに、ただただ頭が混乱してしまった。


……刹くんが、わたしをすき?

なんで? 小学生の、頃から?

……だって、彼はいつも──。



「昔、いろいろとからかってたことは、本当に悪かったと思ってる。……男が、苦手っていうのは……あの頃のことが、原因だよな」

「………」

「本当に、ごめん」



彼は苦しそうな表情で、そう言って深く、頭を下げた。

わたしはただその場に立って、そんな彼の姿を見つめることしかできない。



「……あの頃俺、ほんとガキで。すきなコに普通に話しかけることすら、できなくて。だから苦し紛れに、いっつも花音のこと、からかうみたいに言ってた」

「………」

「本当は、逆だった。そのやわらかそうな茶色い髪だって、色素の薄い目だって。いつも、綺麗だと思ってたのに」
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