きみに初恋メランコリー
「……あっ」



教室移動があった、3限目の情報処理の授業からの帰り道。

ホームルーム教室まであと少しという、4階廊下の途中で突然立ち止まったわたしに、一緒に歩いていたしおちゃんたちが不思議そうな顔をした。



「花音ちゃん、どうしたのー?」

「……わたし、情処室にペンケース忘れてきちゃった」

「あららー」

「えーっ、一緒に取りに行く?」

「いいよぉ、教室まであとちょっとだし」



口々に付いて来てくれるというみんなに、右手を振ってみせる。

それから、くるりと踵を返した。



「次の授業、遅れないとは思うけど……もし先生が来ちゃったら、説明しといてもらえるかな」

「おっけー」

「気をつけてね~」

「うん」



ここは4階。情報処理室があるのは、1階だ。

地味に遠い……せっかく、ここまで来たのになあ。

わたしは嘆息して、廊下の端にある西階段までの道を戻り始めた。
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