きみに初恋メランコリー
「そういえば花音、今日のお昼は例の場所行くの?」



その言葉に、わたしは笑みを浮かべて答える。



「うん。……今日は、なんだかたくさん触りたい気分なの」

「そっか」



しおちゃんがうなずいたと同時に予鈴が鳴る。少し遅れて、先生が教室に入ってきた。

自分の席に戻るしおちゃんとバイバイをして、わたしは机に頬杖をつく。

そうして頭に浮かぶのは、やっぱり、彼のことばかりで。


……だって、きっとわたしにとって、あの感情は初めてのものだ。

曖昧で、根拠なんかないけど、でも確かに、胸が締めつけられた。

その声に、表情に、仕草に、心が惹き付けられた。

こんな感情、今までに知らない。



「(……そういえば、『たぶん同じ学校』ってことは、言い忘れたなぁ……)」



まあ、この情報にも、やっぱり根拠なんてないんだけど。

そんなことを思いながら、ショートホームルーム中の先生の話に耳を傾けた。
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