きみに初恋メランコリー
そっと触れた彼女のくちびるは、やはり甘くやわらかい。

１度は離れかけたそれを、再び角度を変えて押しつけた。



「……ん……っ」



重ねたくちびるの隙間から、小さく、花音ちゃんの苦しげな声が漏れる。

俺はそれに気づきながらも、さらに深く、まるで食べてしまうかのように口づけた。



「ふ、……せん、ぱ……」



息継ぎの合間に、花音ちゃんは必死で、俺のことを呼ぶ。

それは制止しているようにも、もっと、とねだっているようにも聞こえて。

どちらでもいい、と、俺はますます激しく、彼女のくちびるを貪った。


そっと薄目を開け、ほとんど覆い被さるように押し倒している状態の、彼女を盗み見る。

頬を赤く染めた花音ちゃんは、ぎゅっときつく目をつぶって。だけど必死に、俺の行為に応えようとしていた。　



「………」



それを見ながら、俺は。

最低な、決意をする。
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