きみに初恋メランコリー
「なに、あたしらとは行きたくないって?」

「……そういうんじゃねぇよ」

「じゃあ、どういうことよ」



しつこく食い下がるまどかに、どんどん、腹の中の黒い感情が広がっていく。

ギシ。小さく軋んだ音をたてながら、俺はベッドの外に足を出して、腰かける体勢になった。



「……俺はもう、花音ちゃんとそういう関係じゃないんだ。だから、一緒に遊んだりもできない」

「へ……」



俺の言葉を聞いて、まどかはそれまでの不機嫌そうな雰囲気を一転、驚いたように目を見開く。



「え、別れたってこと? 前たまたま会った日から、2週間くらいしか経ってないじゃん」

「……そうだな」

「ちょっとあんた、何したのよ。あんなかわいくていいコそうな彼女、もう一生現れないわよ」



──ああ、自分でもわかってんだよ。

あんないいコがこんな自分をすきになってくれるなんて、きっと一生に1度くらいの出来事だって。

だけど、自分の中の、どす黒い感情はおさまらない。
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